慶応義塾大学理工学部教授 米田雅子 建設・森林・農業再生

研究・活動報告

 

建設業の複業化

 

地方の町や村が補助金に依存しない自立型産業を興すためには、企業が複数の本業をもつ「複業会社」、農商工の連携、林業と建設業の共働のように複数業種が協力して事業を行う「複業化」が重要です。市場の大きな都会では、様々なビジネスが単独で成立しますが、市場の小さい地方では、1つの業態だけの企業では費用対収入が見合わず、年間を通した継続的な仕事の確保が難しいからです。
大きな可能性を秘める「複業化」ですが、業種毎の縦割り行政が壁になっており、その支障の除去が必要です。
農業の問題は農業者だけでは解決できず、地方建設業の問題も建設業者だけでは解決できません。地方再生のためには、業種毎の成長戦略ではなく、「地方産業をどう再構築していくのか」の視点からの新しい横断的戦略が必須です。
また、現在の建設市場は供給過剰ですが、今後、健全な規模にすると共に、良質な建設業を維持していくことが地域の発展には不可欠です。そのため、建設業の再編加速と転廃業も必要です。雇用の受け皿のない地方では、「複業化」の推進により、雇用の場の創出を図る必要があります。

 
○2012年3月22日 東京大学から博士(環境)を授与 論文博士でタイトルは「過疎地における地方建設業の農業・林業参入に関する研究」 指導教官は新領域創成科学研究科 清家 剛准教授
 

参考:

2016年3月 長崎大学大学院工学研究科インフラ長寿命化センター 平成27年度活動報告書

2014年8月25日 まち・ひと・しごと創生本部設立準備室にて「縦割りをこえて日本を元気に」(目次PDF)講演 

2013年2月19日「地方のための成長戦略・業種を越える事業・縦割りの壁」信濃毎日新聞(共同通信より配信)(PDF)  秋田さきがけ、佐賀新聞、中國新聞、神奈川新聞、岩手日報他で掲載

2010年3月「複業化」による地域産業の創出 碧い風 VOL.68(PDF)

2010年1月31日 建設業の生き残り策「複業化で自立目指せ」北日本新聞(共同通信より配信)(PDF)

2010年1月6日 オピニオン 複業化「あれもこれもで生き残れ」朝日新聞(PDF)

2009年12月1日建設トップランナー倶楽部から緊急提言 「複業化の推進と平成検地の提案概要」(PDF)
公共事業が削減される中、農林業に複業化している地域建設業の厳しさと中長期的視点の重要性を発信し、緊急雇用対策として「平成検地」を提案 → 関連記事(2009年11月20日建通新聞 PDF)

2009年11月「新政権と建設産業」建通新聞(PDF)

2009年3月12日「これからの地域建設業」市場の縮小に復業化で対応を—建通新聞(PDF)

2008年11月「業種の壁超えた『複業』カギ」読売新聞「論点」(PDF)

業種を越えた「複業化」で地方産業創出(PDF)

2007年12月〜2008年1月「複業化で地方活性化—横断的な規制改革急務」共同通信配信 沖縄タイムス「識者評論」(PDF)

2007年12月「地方経済の自立に「複業」を」日本経済新聞「都市と地方」(PDF)

2007年9月「地域格差是正—自立型の産業構造に転換を」朝日新聞「私の視点」(PDF)

 

建設業の再生

 
地域格差の是正の問題に打ち出の小槌はなく、各地方の方々が自立型の産業を興す努力にこそ解決の光があります。地方の建設会社が多角化することで生き残り、地域ビジネスを興しながら、同時に社会基盤を担うことが「持続可能な社会基盤と地方活性化」につながります。新事業へと邁進する建設経営者たちと、建設トップランナー倶楽部を結成し、フィールドワークにもとづく研究活動を行っています。
平成19年6月に内閣総理大臣から再チャレンジ支援功労者表彰をいただきました。建設トップランナーフォーラムを高く評価していただきました。
また、内閣府 PFI推進委員会委員として、平成22年5月に、地域が主体のローカルPFIの提案、簡易型PFIの提案を行いました。
地域建設業の重要性を明らかにするために、地方建設記者の会と共に「日本には建設業が必要です」を出版しました。また、地域の建設業の声を発信する活動も続けています。
 

参考:

2016年3月 長崎大学大学院工学研究科インフラ長寿命化センター 平成27年度活動報告

2014年7月18日 読売新聞(北海道版)の「新幹線入札18件不成立」にコメント掲載(PDF) 

2014年7月8日 第9回建設トップランナーフォーラム「インフラの町医者をどう育てるか」(PDF)開催

2014年5月30日-31日 建設トップランナー倶楽部 福島視察研修会 

2014年4月21日 建設新事業施策研究会(平成26年第1回)

2014年2月7日 建設トップランナー倶楽部幹事会総会・研修会開催 新聞記事「地域建設業の人材をどう育てるか」(PDF) 

2013年7月2日  第8回建設トップランナーフォーラム開催 約400名が参加 新聞記事(PDF) 

2013年7月1日 建設新事業施策研究会 平成25年第2回開催議事録) 

2012年7月12日 第7回建設トップランナーフォーラム開催 約350名が参加 当日の様子(USTREAM写真(PDF)配布資料(PDF)新聞連載記事(PDF) 

2008年10月「建設トップランナー総括講演—よりどころは実のある技術」建設通信新聞(PDF)

2008年1月「新しいフェーズに入った建設企業の新新分野進出」建設通信新聞「インタビュー」(PDF)

2007年7月建設トップランナーフォーラム開催 公明新聞記事(PDF)

2006年4月「公共事業削減 新分野探す建設業者」 毎日新聞(PDF)

再チャレンジ表彰パンフレット米田紹介(PDF) 受賞式風(JPG)

 

農商工連携

 
 「農商工連携」の提唱者として、農業、商工業、建設業などの連携による地域ブランドづくりを研究しています。農商工連携88選の審査委員長も務めました。
 
「山、里、海の幸を活かした地方活性化」農商工連携の重要性

日本は温暖で水に恵まれ、豊かな緑が残り、世界屈指の漁場に囲まれています。都市と地方の格差を是正し、閉塞感のある地域経済の活性化のためには、山、里、海の幸を活かした農林水産業の復活を忘れてはなりません。しかし、現状の農山漁村をみると、農林水産業は高齢化と担い手不足で低迷し、建設業をはじめ地方の中小企業は公共事業の減少で行き場のない従業者を多くかかえ、地方都市の商店街のにぎわいもなく、地域経済は疲弊し、山や里や海が荒れています。

このような状況を打破するために、山、里、海の再生、ふるさと資源を活用した新世紀にふさわしい産業としての農林水産業の再生のための戦略が必要です。環境保全と災害に強い国土づくりにつとめ、安心安全な農作物の提供、木材の安定供給、CO2削減、魚が育つ漁場整備に努める必要があります。そのため、農業、建設業、商工業等の地場産業が、業種の壁を越えて、自由な発想で、力を合わせて地方の活性化を図れるよう、これまでの業種ごとの規制を改革し、日本全体が元気になる環境づくりに励むことが大切だと思います。

 

参考:

 
    2013年11月8日 全国農業新聞に「地域と共に歩む建設帰農」掲載
 

 2008年9月 「農林水産業で地域活性化」日本農民新聞「このひと」(PDF)

 

 2008年4月 農商工連携88選の事例一覧

 

 2008年4月 「農商工連携88選」の選定・公表について

2016年の研究・活動報告

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